皮膚科
湿疹・皮膚炎
①湿疹(皮膚炎)
皮膚のかゆみを伴う紅斑です。原因が分からないもので数日しか経過していないものを急性湿疹、1週間以上経過しているものを慢性湿疹と呼びます。治療はステロイド外用や抗ヒスタミン薬内服です。
②接触皮膚炎
いわゆる“かぶれ”です。毛染め、化粧品、湿布、消毒液、洗剤、金属、ゴム、おむつ、植物など原因は様々です。治療は接触源を断ち、ステロイド外用や抗ヒスタミン薬内服を行います。難治性の手湿疹には光線療法(エキシマライトという紫外線)も行っております。当院では原因究明のためのジャパニーズスタンダードアレルゲン(パッチテストパネル®S)というパッチテストも行うことができます。
③アトピー性皮膚炎
アトピーとは“異常過敏状態”を意味します。家系的に生じやすい湿疹です。乳児期は頭、顔に始まり、しばしば体幹、四肢に下降。幼小児期は頸部、四肢関節部に。思春期・成人期は上半身に皮疹が強い傾向になります。ダニ、ハウスダスト、花粉、マラセチア(酵母菌)などに対するアレルギーが多く、当院ではViewアレルギー39(39種類のアレルゲンに対する特異的IgEの測定)を積極的に行っております。アトピー性皮膚炎の治療は従来からステロイド外用や抗ヒスタミン薬内服が基本ですが、桐蔭ではアレルギー検査の結果によってはスギ、ダニアレルギーに対するシダキュア®、ミティキュア®によるアレルゲン免疫療法も可能です。また近年ではノンステロイドであるJAK阻害薬のコレクチム軟膏®や、PDE4阻害薬であるモイゼルト軟膏®も保険適応となりました。更に当院では難治性アトピー性皮膚炎に対するインターロイキン-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピクセント®)も行っておりますが、今後は インターロイキン-31受容体Aモノクローナル抗体(ミチーガ®)の保険適応になる見通しです。
④脂漏性皮膚炎
皮脂分泌の活発な頭部、顔面、腋窩などに好発します。マラセチア(酵母菌)やビタミン代謝が悪化因子とされています。ステロイド外用や、フケを伴うタイプでは抗真菌薬の外用なども併用します。
⑤うっ滞性皮膚炎
下肢静脈瘤、立ち仕事、高齢者、肥満女性に好発します。下腿の1/3に紅斑を生じ、容易な外傷で潰瘍化します。下肢静脈瘤の精査や、安静、下肢挙上、弾性包帯、ステロイド外用などの治療を行っていきます。
⑥皮脂欠乏性湿疹
ヒトは50~60代から、徐々に皮脂分泌機能が低下し、80代になるとほぼ100%の方が皮脂欠乏症となります。特に下肢は乾燥しやすく、皮脂欠乏性湿疹が好発します。保湿剤や、湿疹がみられる場合はステロイド外用にて治療を行っております。
⑦汗疱、異汗性湿疹
手掌、足底に限局して、小水疱がみられます。かゆみを伴うと異汗性湿疹と呼びます。時に金属アレルギーを合併します。
蕁麻疹・痒疹・皮膚掻痒症
①蕁麻疹(じんましん)
突然、円形や地図状の膨疹を生じ、激しい痒みを伴います。ヒスタミンが肥満細胞から分泌されることにより生じます。多くの場合は原因が特定できませんが、感染、物理的刺激、食べ物、運動発汗(コリン性蕁麻疹)、ストレス、薬剤が原因となることもあります。治療は抗ヒスタミン薬の内服が第一選択です。多くは数日~数週で終息しますが、一部は慢性蕁麻疹に移行し、10年以上遷延することもあります。当院では難治性の特発性蕁麻疹に対してのオマリズマブ(ゾレア®)による治療も行っております。
②痒疹
強いかゆみを伴う孤立性の丘疹や小結節です。虫刺症、物理的刺激、食べ物、アトピー性皮膚炎が原因となります。虫刺症に対する過敏反応と考えられる小児ストロフルス、高齢者の側腹部・腰臀部に好発する多形慢性痒疹、青年期以降の女性に好発する結節性痒疹、妊娠に伴った妊娠性痒疹などもあります。治療はステロイド外用、抗ヒスタミン薬内服、光線療法、ステロイド局所注射や凍結療法などが行われます。
③皮膚搔痒症(ひふそうようしょう)
明らかな皮疹がないにもかかわらず、強い痒みを呈します。汎発性皮膚掻痒症は全身に掻痒が現れるもので、内臓疾患、環境因子、薬剤、食物、妊娠、心因性、ストレスなどが原因となります。当院では採血による原因の究明を積極的に行っています。明らかな皮疹がないにもかかわらず、強い痒みを呈します。汎発性皮膚掻痒症は全身に掻痒が現れるもので、内臓疾患、環境因子、薬剤、食物、妊娠、心因性、ストレスなどが原因となります。当院では採血による原因の究明を積極的に行っています。外陰部や肛門に限局する、限局性皮膚掻痒症もあります。治療は原疾患があればその治療や、抗ヒスタミン薬、保湿、光線療法などがあります。2009年からナルフラフィン塩酸塩(レミッチ®)が透析や慢性肝疾患のかたに適応になりました。
薬疹
全身投与により体内に摂取された薬剤による皮膚病変です。処方薬、市販薬、サプリメントなどの薬剤歴の聴取が重要です。被疑薬の内服開始から発症までの期間は薬剤や病型により異なります。蕁麻疹型・アナフィラキシーショック型では10分から数時間、多形紅斑型・播種状紅斑丘疹型・光線過敏型などでは未感作で5~14日、既感作で数時間~1日以内に発症します。既感作の固定薬疹はさらに早く、1~数時間で発症します。薬剤性過敏症症候群(DIHS)で2~8週間、苔癬型・乾癬型では数か月~数年後に発症することもあります。当院では薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)による原因検索が可能ですが、陽性率は全体の50%程度です。治療は原因薬剤の中止、ステロイド外用、抗ヒスタミン薬内服です。
膿疱症
掌蹠膿疱症
手掌足底に膿疱を形成し、慢性に経過します。喫煙、扁桃炎、齲歯、歯科金属アレルギーなどが原因となることがあります。約10%で胸肋鎖骨間骨化症を合併して胸痛を伴います。治療はステロイドや活性型ビタミンD3軟膏の外用、禁煙、扁桃摘出、金属アレルギーの場合は歯科金属除去などを行います。当院では保険認可された光線療法も行うことができます。
角化症
①尋常性乾癬
炎症性角化症で厚い銀白色の鱗屑を伴った紅斑、丘疹がみられます。掻痒を伴う場合もあります。肘、膝、生え際、臀部など刺激を受けやすい部位に好発します。爪の変化も高頻度に認められます。病態によって、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎などにも分類されます。当院では活性型ビタミンD3軟膏やステロイド外用、光線療法。重症例ではアプレミラスト(オテズラ®)、シクロスポリン、エトレチナート(チガソン®)など様々な治療が可能です。また近年ではTNF-α、IL-12.2317阻害薬などの生物学的製剤も使用されています。
②毛孔性角化症(毛孔性苔癬)
上腕や大腿の伸側に、毛孔に一致した丘疹が多発します。思春期を過ぎると自然消退すると教科書的にはありますが、成人になっても残る方がみられます。病理所見では毛孔が開大し、その中に角栓と捻じれた毛がみられます。治療は角化症治療の外用薬が一般的ですが、効果的でないこともあります。近年ではケミカルピーリングや脱毛レーザーが有効であると報告されており、当院で治療が可能です。
色素異常症
尋常性白斑
後天的にメラノサイトが減少・消失するため白斑を形成します。メラノサイトやメラニンに対する自己免疫が関与することが考えられています。甲状腺疾患、悪性貧血、糖尿病を合併することがあります。治療はステロイド外用、光線療法、活性型ビタミンD3、タクロリムス外用が有効と言われ、当院で治療が可能です。
付属器疾患
①酒さ
顔面に好発し、びまん性発赤と血管拡張が持続します。にきび様の皮疹を混じることがあります。原因は不明ですが、日光、ストレス、飲酒、刺激物の摂取、肝機能障害、毛包虫(ニキビダニ)感染などが発症に関与しているとされています。最近、メトロニダゾールゲル(ロゼックス®)が保険適応となりました。当院では色素レーザー、漢方、抗生剤などの治療も行っております。
②酒さ様皮膚炎
ステロイド外用薬を顔面に長期間使用することで、酒さに似た皮疹を生じます。治療はステロイドを中止することですが、これによりリバウンドが起こり、皮疹が悪化することが数週~数か月持続する場合があります。
③円形脱毛症
突然、境界明瞭な脱毛斑が出現します。大部分は頭髪に生じますが、眉毛などに認められる場合もあります。通常は単発ですが、多発する例もあります。ストレス説など種々ありますが、原因は不明です。甲状腺疾患、白斑、アトピー性皮膚炎を合併することがあります。また、抜毛症、膠原病、梅毒などによる脱毛とも鑑別が必要です。数か月で自然治癒しますが、難治性・再発性の方もいます。治療はステロイド外用やステロイドの局所注射の推奨度が高く、当院では光線療法による治療も可能です。最近、広範囲で難治な円形脱毛症に対してJAK阻害薬(オルミエント®)が承認され、期待されています。
④爪甲の色調の変化
黒色の爪:ほくろ、炎症、圧迫、悪性黒色腫、薬剤性などが原因となります。ダーモスコピーを用いて診断します。
緑色の爪(グリーンネイル):ネイルなどにより緑膿菌が繁殖することによります。爪白癬や爪カンジダ症を合併することもあります。
白色の爪:白癬菌によることが多いですが、低アルブミン血症、貧血、強皮症、糖尿病によるものもあります。
⑤爪の形態の異常
時計皿爪(ばち状指):爪が太鼓のばちの様に肥大します。
匙型爪(スプーンネイル):爪甲がスプーン状に陥凹します。指先に力を掛ける仕事、貧血、甲状腺疾患、扁平苔癬、乾癬、真菌感染、外傷、化学物質などでもみられます。
爪甲剥離症:爪甲が末梢から剥離してくる状態です。カンジダ、外傷、慢性刺激、マニキュア、洗剤、甲状腺機能亢進症、末梢循環障害、薬剤などが原因になります。
厚硬爪甲:分厚く彎曲した状態を爪甲鉤彎症と言い、ご高齢になると母趾に好発します。
点状陥凹:爪甲に針でつついたような点状の凹窩が多発します。乾癬や円形脱毛症でみられます。
陥入爪:爪の側縁が食い込み、皮膚が発赤腫脹して肉芽となり、圧痛を伴います。当院ではアクリル人工爪療法、VHO療法、フェノール法、ガター法など種々の治療を行うことが可能です。
皮膚の良性腫瘍
①乳児血管腫(苺状血管腫)
未熟な毛細血管の増殖により、生後1~2週から鮮紅色の隆起性病変がみられ、特に1~2か月で急速に増大し、6~7か月まで増大します。顔面や腕に好発し、数年で柔らかい瘢痕を残して自然消退。治療は以前は経過観察でしたが、隆起の強い病変は瘢痕、皮膚萎縮、毛細血管拡張などの後遺症を残すことがあります。最近はプロプラノロール内服とや色素レーザーが注目されています。早期治療が有効とされており、当院で色素レーザー(Vビーム)治療が可能です。範囲や症状により、大学病院を紹介することもあります。
②老人性血管腫
点状の紅色丘疹が、体幹に多発します。20歳代からみられますが、年齢とともに増加します。当院ではレーザーでの治療が可能です。
③毛細血管奇形(単純性血管腫、ポートワイン母斑)
出生時から存在する紅色斑です。終生持続し、基本的に自然消退せず、加齢に伴って色調がやや濃くなります。特殊な病型として、額部や眼瞼部に好発する正中部のものはサーモンパッチといい、2歳頃までに大部分が自然消退します。項部に生じたものはウンナ母斑といい、消退しにくいです。色素レーザーで当院で治療が可能です。できるだけ早期に治療を開始することが提案されています。
皮膚の悪性腫瘍
①基底細胞癌
最も頻度の高い皮膚癌です。紫外線などが原因でご高齢になると顔面の正中部に好発します。黒褐色小結節のことが多いですが、紅色の病変や、潰瘍化することもあります。転移はまれで、治療は切除が基本です。
②有棘細胞癌
皮膚の角化細胞の癌です。日光角化症、ボーエン病、熱傷瘢痕、慢性放射線皮膚炎などが原因となります。紅色の結節が進行すると潰瘍化。治療は切除が基本ですが、切除不能例、進行例では放射線療法、化学療法なども検討されます。
③日光角化症(光線角化症)
顔面や手背などの露光部に、赤いシミが出現します。ときに有棘細胞癌に進行するので注意が必要です。治療はイミキモド・クリーム(ベセルナ®)や外科的切除、凍結療法などで治療が可能です。
④ボーエン病
円形~楕円形で紅色~褐色の病変が出現します。紫外線やヒトパピローマウイルスが原因となることがあります。湿疹に似るので注意が必要です。放置すると有棘細胞癌に進行することがあります。治療は外科的切除や凍結療法が行われます。
⑤乳房外パジェット病
大部分が外陰部に生じ、鮮紅色の病変が生じます。湿疹やカンジダ症を合併するので時に鑑別が難しく、皮膚生検による確定診断が重要です。進行すると乳房外パジェット癌に進行します。
⑥菌状息肉症
最も頻度の高い皮膚T細胞リンパ腫(白血球のうちのリンパ球の癌)です。数年~数十年にわたって紅斑期、局面期、腫瘍期と、慢性に経過します。時にアトピー性皮膚炎などとの鑑別が難しく、皮膚生検による確定診断が重要です。
⑦悪性黒色腫
メラノサイトの皮膚癌です。日本人は10万人あたり1~2人とされています。原因は不明ですが、外的刺激、紫外線などが誘因となることがあります。日本人では末端黒子型が最も多く、足底や手足の爪に不整形の黒色斑を生じます。まれに無色素性黒色腫とよばれる赤色調の病変があります。その他、頭頸部、体幹四肢、粘膜にも生じます。検査はダーモスコピーが有用です。正確な診断をするために皮膚生検を行うこともあります。治療は手術が基本ですが、進行例では免疫チェックポイント阻害剤や分子標的治療薬などの化学療法が行われています。
ウイルス感染症
①単純ヘルペス
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる初感染や、ウイルスは神経節細胞に潜んでいるので、ストレスや感冒を契機に再活性することにより生じます。口唇ヘルペスは口唇やその周辺で、掻痒や灼熱感、違和感の1~2日後に紅斑、小水疱が生じます。
カポジ水痘様発疹症アトピー性皮膚炎の方などにヘルペスウイルスの初感染なしし再活性によるものです。しばしばA群β溶血性レンサ球菌による細菌感染を伴い、びらん、膿疱、出血などを形成します。
性器ヘルペスは性行為で感染することが多く、性器に小水疱や小潰瘍を生じて激痛を伴います。治療は抗ヘルペスウイルス薬内服などで治療可能です。
②帯状疱疹
帯状疱疹と水痘(水ぼうそう)は同じ、水痘帯状疱疹ウイルスによって起こります。水痘は、5歳までに85%の人がかかり、その後、ウイルスは体の中に潜伏感染しています。加齢や疲労、ストレスや病気などで免疫が低下すると、ウイルスは神経に沿って皮膚に現れ、帯状疱疹となります。症状は体幹や顔面に、初めに痛みや痒みが生じ、痛みが生じた体の左右どちらかに赤い発疹が帯状に生じて、やがて水疱になります。水痘ワクチンの定期接種化により、水痘を発症する子供少なくなりましたが、それに伴い近年は20~40歳代の若年者での発症率が高くなっています。治療は抗ヘルペスウイルス薬の内服になります。当院では50歳以上の方の予防として、帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)も行っております。
③尋常性疣贅
いわゆる“いぼ”です。ヒトパピローマウイルスの感染により指趾、足底に小丘疹を生じ、放置すると徐々に増大します。液体窒素による凍結療法が基本です。当院では痛みに弱いお子様などに自費診療にはなりますが、痛くない疣贅治療(トリクロロ酢酸)も行っております。また、難治性のいぼに対してCO2レーザーでの治療も可能です。
④尖圭コンジローム
ヒトパピローマウイルスによって外陰部に乳頭状の丘疹を形成します。性感染症の一種です。治療は液体窒素による凍結療法や、イミキモドクリーム(ベセルナ®)の外用になります。
細菌感染症
①伝染性軟属腫
伝染性軟属腫ウイルスによる、いわゆる“みずいぼ”です。子供に好発します。水いぼ鑷子による除去が基本でしたが、当院では痛くない水いぼ治療、水いぼクリームによる治療も導入しました。通常は数か月で自然消退しますが、アトピー性皮膚炎の方には、成人でもみられることがあります。
②伝染性膿痂疹
いわゆる“とびひ”です。皮膚に細菌感染が起こり、水疱や痂皮を形成し、拡大します。乳幼児に好発し、接触により他人に伝染します。治療は抗菌薬の内服、外用です。
③蜂窩織炎
黄色ブドウ球菌やレンサ球菌の感染により、顔面や特に下腿に、皮膚の赤みが生じ、腫れ、熱感、疼痛を伴います。外傷や皮膚潰瘍、毛包炎、足白鮮、下肢のうっ滞、糖尿病、免疫不全が原因となることがあります。進行すると壊死性筋膜炎や敗血症になることがあるので、抗生剤による治療が必要です。
④細菌性爪囲炎
いわゆる“ひょうそ”です。爪の周りの皮膚に細菌感染を生じ、痛み、腫れ、赤み、熱感、膿瘍などがみられます。治療は排膿や、抗菌薬の内服、外用です。
真菌症
①白癬
白癬菌が皮膚に寄生して生じます。寄生部位により足白癬(みずむし)、爪白鮮、体部白癬(ぜにたむし)、股部白鮮(いんきんたむし)などと呼ばれます。検査は適切な検体を採取し、顕微鏡で白癬菌を確認します(KOH法)。白鮮と診断されれば、抗真菌薬外用による治療が可能です。爪白癬にはホスラブコナゾール(ネイリン®カプセル)内服も選択肢ですが、薬の飲み合わせには注意が必要です。 Nd:YAGレーザーによる自費治療も可能です。
②カンジダ症
カンジダ属は常在していますが、発汗による多湿や不潔、おむつの蒸れ、水仕事などが原因となり、皮膚が擦れ合う部位、指趾間、爪、口腔、性器などに病変を生じます。糖尿病やステロイド長期内服、AIDSなど免疫低下状態であると発症しやすくなります。KOH法で診断し、治療は抗真菌薬になります。
③癜風
皮膚の常在菌であるマラセチアの感染症です。体に褐色や白色の色素斑を作ります。擦ると大量の落屑が出るカンナ現象が特徴的です。治療は抗真菌薬の外用で2週間程度で治癒します。
昆虫などによる皮膚疾患
①虫刺症
蚊、ブヨ、アブ、蜂などの昆虫に噛まれることにより、昆虫由来物質やヒスタミンが注入されることにより、痒み、赤みなどが出現します。治療はステロイド外用や抗ヒスタミン薬内服が基本です。
②毛虫皮膚炎
チャドクガなどの毛虫の毒針が皮膚に刺さることで生じます。擦らずに水で洗い流すか、テープなどで毒針を除去することが重要です。治療はステロイド外用です。
③疥癬
ヒトヒゼンダニ(疥癬虫)による感染症です。陰部や体幹、指間部に好発し、きわめて掻痒感が強く、とくに夜間に激しく眠れないほどです。寝具などを介して感染するので、性感染症や院内感染として発症することが多いです。治療はイベルメクチン内服や、スミスリン®ローション外用があります。
④シラミ症
シラミが寄生することで、著しい痒みを来す疾患です。頭髪に寄生するアタマジラミ、衣服に寄生するコロモジラミ、陰毛に寄生するケジラミの3種類がいます。アタマジラミは学校などで流行することがあります。診断は顕微鏡で虫体や、虫卵を確認することです。治療はスミスリン®Lシャンプーですが、近年では殺虫剤抵抗性アタマジラミが問題となっています。
⑤マダニ刺噛症
マダニは自然環境が豊かな場所に生息します。そういった場所で肌を露出し過ごすことで、春~秋にかけてマダニに咬まれることがあります。マダニは、ヒトや動物の皮膚にしっかりと口器を突き刺し、吸血します。無理に引き抜こうとするとマダニの口器が皮膚残ったり、マダニの体液を逆流させてしまったりする可能性があるので、医療機関で除去することをおすすめします。
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